グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ミックスルーツは、名前の扱いに困る人も多いですよね。ミドルネームを入れるのはありがちですが、姓+姓+名前で通しているという変わった人に詳しく話を聞いてみました。
【1】名前の構造と由来
話の伺ったのは、日本とイランのハーフであるKさん(21歳・女性)です。彼女の名前は姓+姓+名前です。
まずは名前の構造がどうなっているのかと、不思議な構造になった理由について伺いました。
「私の名前の構造は、姓は母方の姓(日本)、下の名前は父方の姓(イラン)+名前(日本名)という風になっています。ですので、フルネームで名乗るときは、姓+姓+名前の形になっているということですね。でも、戸籍上は姓+イラン姓と名前を繋げて名前として扱っています。ハーフでも姓が2つ入っているのは珍しいと思います。
このように名字が2つ入った理由は、日本だと、女性は結婚すると基本的に姓が変わってしまうためです。私は長女なのもあって、イランの父の姓が残るように、このような形になりました。ですので、下には弟が二人がいますが、彼らは日本姓+日本名前の構造です」
外国型の親の苗字を残すために、姓を2つ名乗ることができるんですね。
ハーフでもほとんど知られていないことだと思います。
【2】人への説明の仕方
これだと説明が難しそうですよね。
人にはどう話しているのか聞いてみました。
「やっぱり説明をするのが複雑で面倒ですよね。だから、周りには『ミドルネーム』って言っています。しかし、正確にはミドルネームではありません。また、『クルム伊達公子』みたいな、ダブルネームでもないんです。姓が2つ続いて名前が来ているんです。
で、基本的に電話の場合には、名前を聞き返されるんですよね。一度電話で演劇のチケットを取ったとき、間違った名前で印字されてて謝罪されたこともあります。 イラン名字の響きが、日本にも存在する名字に似てるためよく間違われるみたいです……」
複雑ですよね。
ミドルネームが入る場合に、日本だと姓+名前+ミドルネームの形になりますが、姓が2つの場合には、姓+姓+名前となるので、どれが名前なのかわからなくなりそうです。
【3】もう一方の国での名前も違う
驚くべきことに、彼女の父方の国であるイランでは、名前が異なるのだそうです。
詳しく伺いました。
「イランの名前もまた違います。イランの場合には、イラン名前+イラン姓で、一般的なイラン人名の構造になっています。
ちなみに、日本の名前とイランの名前は、意味と響きが近いものを選んで付けています。連想ゲームで名前がついている感じですが、音だけだと全く別の名前ですね。でもそのイラン名が外来語由来なので、学校などのオフィシャルな場所では使うのを控えて、イランの人たちにわかりやすいように、また違ったイラン名前を使用しています」
すごく複雑ですね!
イランでは名前+姓が一般的ということですので、日本で登録されている姓+姓+名前はかなり変わっていますよね。
その上、イランでは名乗っている名前が全く異なり、さらにそれがわかりにくいことから公的な場で別の名前を使っているようです。
となると、名前を3つ持っていることになるのでしょうか……。
【4】姓も日本と海外で異なる
Kさんは日本でもイランでもイラン姓を用いていますが、厳密には日本と少し違うのだそうです。
「本来、日本語に無い発音なので、日本語に当てはめられないんですよね。だから、もっとも近いカタカナを当てて使用しています。
また、姓の一部が同じ母音が2回続く発音をするため、本来は「アア」のようなの表記だけど「アー」のように間違われることが多いです」
音がないのはハーフあるあるですよね。近い音に当てる人が多いと思います。
また、「サアア」さんのような名前の場合に、「サー」さんと間違われることは確かに多いように感じます。
電話口で名前を登録してもらう場合に、誤った名前だと利用できないトラブルなどが起こることがあるので、かなり注意が必要そうですね。
名前はハーフがとてもよく困る問題ですが、このように場所によって変えても問題ないみたいですね。
戸籍登録などの場面では厳しくなると思うので、必要に応じて相談するのが良さそうです。
(青木一真/ライター)
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