グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、日本とカナダのハーフであるSさん(20歳・女性)。彼女の母語は日本語と英語です。しかし、日本でずっと生活してきたため、英語は学校教育で習った程度です。容姿はカナダ人の父親に似て茶髪で、ヘーゼルの目をしています。
彼女は母子家庭で大学の学費を自分で賄っていたため、多くのバイトをしていたそうです。しかし、バイト先で受けた数々の偏見に困ったのだそう……
「最初に受かったバイト先は、採用後に分かったのですが、かなり英語を重視しているところでした。立地もあって、外国人のお客さんが多かったようです。私はハーフなので、面接で聞くまでもなく、英語ができると思われていたみたいで……。実は英語ができないので、かなり困りましたね。一番英語ができるだろうっていう前提で、日本語が全く通じないお客さんが来ると、店長などにしょっちゅう呼ばれてしまいました。できないと伝えると、かなり怪訝な顔をされてしまいましたね。そういうのもあって、周りからの空気に耐えられず、ここのバイト先はすぐにやめてしまいました」
そして、すぐに別のバイト先を探し始めたのだそう。しかし、その面接でも……
「まずそもそも、書類の時点で日本語が話せないと思われて落とされることもよくありました。日本語で履歴書を書いているのに、おかしな話ですよね。学校も普通に日本人が行く一般的な学校に行っていたのに……。
面接まで行っても、髪の毛が地毛が茶色なので、黒染めを強要されて諦めることもありました。自分の髪だし、親の教育方針とかで体に手を加えることに、すごく抵抗があったんですよね。他にも、つけていないのに、『うちはつけまつげ禁止だから』『カラコンしてるの?』などと言われることもありました」
児が「日本語話せる?」と確認を取られる事例は結構聞きますね。今回は確認さえなかったようで衝撃です。
Sさんは採用されたあとも、周りから派手だと言われて、いじめのようなものを受けたと言います。
「外国人の容姿って国によるけれど、私みたいにカナダ人なら、金髪の人とか、まつ毛長い人とか、青目の人とかいますよね。ハーフでも遺伝でこういう特徴を引き継ぐことが多いのに、なぜ決めつけで怒られなければならないのでしょうか。また、日本人の容姿に合わせなければならないのでしょうか。私は、まるで人種差別のように感じて、すごく辛かったです。
何も悪いことをしていないのに、それでバイト先を変えることがとても多かったです。大学の学費を稼がなければいけないから、ある程度は我慢するのですが……。やっぱり、ストレスで勉強に影響を及ぼしてもいけないし、バランスを考える必要がありましたね。それが結構困りました」
Sさんは自分自身の性格面ではなく、偏見からバイトが落ちてしまったり、怒られることを多く経験してきました。生活のためにある程度収入を稼ぐ必要があったため、簡単に辞めることもできず、苦労したようですね。
こうした偏見によって雇用機会が均等になっていない現状も問題ですし、容姿についてとやかくいう行為は、「モラハラ」と言われてもおかしくないように感じます。もう少し想像力を働かせて、相手に歩み寄る社会になれるといいですね。
(神崎なつめ/ライター)
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