グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、日本とインドネシアのハーフであるEさん(21歳・男性)。彼の母語は日本語とインドネシア語ですが、インドネシア語には自信がない様子。英語の方がまだ話せるとのことです。
彼はルーツゆえに、肌が黒くなりやすく、周りから「肌が黒いね」と言われることがよくあったと言います。こういったことがきっかけで、自分がハーフであるという気づきを得るようになっていきました……
「思えば、小さい頃から、周りとは違っていたんですよね。うちは母親がインドネシア人なんですけれど、インドネシアってイスラム系で……。母もイスラム教徒でした」
イスラム教徒言えば、豚肉が食べれないことで有名ですよね?
「そうですね。僕の家庭も、宗教的な問題で豚肉を食すことができませんでした。で、幼稚園のお昼とかにお弁当が出るんですけれど……。豚肉って結構、日本の食卓に出るものじゃないですか。お弁当にもよく、豚肉が入っていたので、僕は母親にお弁当を持たされていました」
みんなが学校で出た弁当を食べている中、自分は別のものを食べている感じですね。
「そうですね。こんな感じで、幼稚園から、小・中とそんな感じで、豚肉が出る日にはお弁当を持参するっていう感じの生活でした。だから、ほとんど毎回、母親にお弁当を作ってもらう感じだったんですけれど……あまりに申し訳ないし、母親も大変だということで、学校側にアレルギー申請ができないか相談したんですよ」
なるほど、豚肉を取り除いてもらえれば、普通に学校のお弁当を食べれますものね。
「そうなんです。でも、その時、割といざこざがあって。結論を言うと、『そんな特例は対応できない』ってえ話なんですけれど。『アレルギーでもないのにアレルギー対応はしない』『宗教的な面とかそう言う理由じゃ対応いたしかねる』と言うようなことを言われてしまいました」
「食べれない」ことには変わりがないのに、ずいぶんな対応ですね。日本はあまり宗教観のない国だから、こう言う対応も仕方ないように思いますけれど……
「宗教観を否定された感じもあるし、実際『アレルギー申請』として通ってくれれば、無理してお弁当を作る必要もないので、親が結構奮闘してくれたようです。教育委員会など、もっと上に働きかけて、『アレルギー申請』が受理されることになりました」
通るものなら、最初から通して欲しいところですね。「アレルギー申請」なんて言う名前があるから、宗教上の理由で通りにくいのでしょうけれど……。もっと別の名前があれば良いように感じました。
みなさんも、宗教上の理由で何か問題があった場合には、「宗教の自由」もあるので、上に訴えてみると良いかもしれませんね。また、宗教上、食してはいけない食品を「宗教食」として除去した給食を出す学校もあるようです。可能場合、あらかじめこういった学校に行くとトラブルが回避できるかもしれません。
Eさん、ありがとうございました。
(神崎なつめ/ライター)
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