グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、日本の血の方が濃い台湾とのクォーターあるSさん(30代前半・女性)です。父方の祖母が台湾人とのこと。祖母と一緒に生活していたわけではないため、中国語がとても上手いというわけではないと話します。
しかし、20代半ばから中国語を台湾人の先生に教わって、今はある程度話せるようになったようです。4分の1というと、日本人のような心持ちがしながら、どこか不完全さも感じていたようです。しかし、良かったと感じることも多かったと話します……
「私も様々に悩みましたが、台湾のクォーターで良かったなと思う点は、言語面です。といっても、中国語って難しいんですよね。例えば、中国語では「〜で」という前置詞を最初に持ってきます。これは日本で育った私も、少し理解が難しかったですね。
私は小学生の頃から英語を習っていたので、中学に上がる頃には、英語は得意科目でした。英語では、だいたい前置詞後ろに付けると習ったので、私は中国語で話すときも「在」という前置詞を最後に持ってきていました。これは完全なる間違いです。英語に慣れていたのと、日本語では『家で勉強する』『勉強を家でする』などどこに置くかが変わるので、ごちゃ混ぜになっていたのだと思います」
筆者も大学で中国語を履修しましたが、文法が難しかった記憶がありますね。ハーフだからといって、各言語が使いこなせるわけではないんですよね。
しかし、クォーターならではの強みもあったんですよね?
「そうなんです。話し言葉は、日々中国語を耳にする中で、ある程度出来ていたので、発音が良いと褒められました。もちろん、中国人や台湾人の方と話していても上手だと言ってもらえます。中国語を習い始めて1年で、旅行で会話できるようになりました。
おそらく、純粋な日本人の方が一から中国語を学んでも、1年でここまで達成できないだろうと言われて、私はクォーターで良かったと感じました。子どもの頃に耳にした音というのは、大人になってからも染み付いているものです。『中国語うまいから負けてあげる』『おまけに1つどうぞ』など言ってもらえるのが嬉しかったです」
それはある気がしますね。筆者も耳は慣れていたようで、苦手意識があったにも関わらず、発音だけはうまかった記憶があります。
全く会話をしなかったわけではないので、そういう筋肉が自然とついていたのもあると思います。
「そうなんですね。これは中国語だから……かもしれないんですけれど、文字や発音のちょっとした違いはあっても、中国大陸の北京語と、台湾で話されている台湾華語(北京語ベースの中国語です)は、どちらも同じ北京語からきているので、多くの人とコミュニケーションが取れました。
個人的には、最近は中華系のスマホゲームがとても人気ですので、その言語のまま遊べることに喜びを感じています。日本のスマホゲームは押され気味ですね」
翻訳するとそのものの意味がニュアンスが失われてしまうことがありますし、そもそも翻訳がないゲームもありますからね。
たくさんの言語が話せると、楽しめることも増えそうです。
「言語から離れてしまうのですが、なんと言っても親日国の台湾が私のルーツでもあることは誇らしいですね。日本人も台湾というと良いイメージを持って貰えますし、大人になってから仲の良い人や仕事上でお付き合いのある方にはクォーターであることを話しています。台湾と日本の良いところと、悪いところどちらも知っているのは、強みではないかと感じます」
ミックスルーツはグローバルな視点や複数の視点を持ちやすいといいますよね。確かに、これは強みであると感じます。
ハーフ・クォーターの話を取り上げると、どうしても悩んだり辛い経験をすることが多いために、ネガティブな話題ばかりが浮上しがちです。しかし、ミックスルーツよしての強みもたくさんありますよね。
(神崎なつめ/ライター)
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