【体験談】英語が話せないからアメリカ人の父と意思疎通が難しかった

英語が話せず父親と意思疎通できない

グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本とアメリカのハーフであるHさん(21歳・女性)。彼女の母語は日本語と英語です。しかし、日本の学生と比べても英語に苦手意識があるといいます。
彼女の父親は日本語を話すことしかできないため、意思疎通することもままならなかったといいます。では、どのようにコミュニケーションを取っていたのでしょうか……



「小さい頃は、生まれた時から父親がそばにいたこともあって、なんとなく聞き取りができたんです。言われたことはなんとなくわかっていて、理解はしたけれど、それに対してどう返事したら良いかわからない感じでした。だから、会話は難しかったですね。父も自然に英語が身についていくだろうと思っていたのに、私が何も喋れないからすごく困っていたようです」

なぜ英語が話せない状況になってしまったのでしょうか。

「私は普通の保育園に行っていたので、朝から夜7時くらいまで保育園にいたんですよ。そこでは当然、日本語で生活していたので……。父親と話す時間が数時間しかないのが原因として大きいと思います。ほとんど日本語で話す環境だったから、英語のインプットが少ないし、無意識に生活で必要性を感じなかったのでしょうね」

それは今もですか?

「うちは父が他界してしまったので……。父親が家にいないっていうこともあって、英語から距離を置いてしまったので、もっとコミュニケーションが難しくなっていると思います。ただ、リスニングのテストは普通の日本人よりできるので、聞き取りはできるんじゃないですかね。全く会話の組み立てができないので、喋れないですけれど。英語の分解はできても、組み立てられないって感じですね」

結構、ハーフあるあるですよね。
日本人が英語を取得しようとなった場合は、文法を理解するっていう組み立てができてから、リスニングができるようになるはずなんですけれどね。

「そうなんですよね。でも、学校だと何かと喋ることを要求されるけれどできないから……。逆にコンプレックスに感じすぎて、中学3年生まで全く英語を勉強することができませんでした。単数系や複数形がわからないくらいひどかったです。その上、父が他界してしまっていたから、思い出して辛くなってしまって、英語も聞きたくなかったんですよ」

しかし、受験で英語が必要になったため、Hさんは英語を勉強する覚悟を決めました。

「意外と、塾ではあれこれと言われませんでしたね。みんな自分のことで必死だったんだと思います。でも、学校の方で色々と言われて……。『なんで今まで勉強してこなかったの?』ってすごく言われました。『お母さんが外国人と結婚したってことは、お母さんは英語を話せるんでしょ?お父さんいなくても、お母さんに習えばいいじゃん』って言われたりもしましたね。話せるから教えられるわけではないし、そもそも片親で忙しいからそんな時間はないし、すごくイライラしました。海外の血が入っているだけで、そういう反応をされるのが気に食わないです。それに、できて当たり前ってなんなんでしょう」



英語での苦労を話すHさんは、メディアの影響などで「ハーフって羨ましい!」と軽率に言われることにも腹がたつのだそうです。裏で多くの努力をしてきたからこそ、そういう面を知らずに言われることに不快感を覚えるのでしょう。

両親が英語を話せるからといって、確実に英語を話せるとは限りません。ハーフだからと、英語ができることや学習することを強要しないように気をつけたいですね。

(神崎なつめ/ライター)

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