【体験談】ハーフの疑問…苦労が多いのになぜミックスが羨ましいの?

ミックスルーツは羨ましいという言葉への違和感


グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。

☆★☆

今回話を伺ったのは、日本とフィリピンのハーフ(Oさん・31歳女性)。母親がフィリピン人であるため、濃いめの顔をしているOさん。自分自身のことを顔立ちが整っているとは思っていないようで、「メディアで活躍されている芸能人の方をたまに羨ましく感じてしまいます」と話していました。
彼女は、SNSを利用していると、ハーフだと聞くだけで、「じゃあ美人さんだね」と言われる経験があるようで、その度もやっとしてしまうのだとか……。また、気になるのは、美しさに関するイメージだけではないようです。詳しく話を伺いました。

「日本も外国人労働者が増えましたので、外国人居住者の方も多いです。それに伴って、国際結婚の家庭も多くなってきたのではないかと思います。ハーフやクォーターは、東アジア系だと日本人と見分けがつきませんが、東南アジア、欧米、南米などの血が入っている人は見た目で外国人っぽいと思われるかもしれません。
そして、「外国語が堪能そう」「顔立ちが整ってそう」というイメージから、ハーフやクォーターはなぜか羨ましいと言われることが多いのではないでしょうか」

確かに多いですよね。「羨ましい」と言われた経験のない人の方が少ない印象があります。
私もミックスですが、よくその言葉は言われました。

「実際、モデルさんや女優さんを見てもミックスルーツの人が増えてきましたし、日本の大手化粧品ブランドも外国人モデルさんを起用しているように思います。そのほとんどが白人系の人です。特に白人系の血が入っていると無条件に羨ましい、可愛い、綺麗だと思われがちですし、メイクも髪色もカラコンも「ハーフ系」を売りにしているところがあります。
しかし実際、ハーフやクォーターだと、苦労するのになぜみんな羨ましがるのだろうかという疑問が残ります」

確かに私も、「それゆえの苦労が多いのに」とちょっとモヤっとした経験があります……。Oさんは具体的にどのような点で、苦労を感じたのでしょうか? 

「まず、言語の問題です。親はともかくおじいちゃんおばあちゃんと会話するとき、流暢に外国語が喋れるかというとそうでもない人もいると思います。実際私もそうです。ものすごく下手だったんだろうなと感じます。同じくハーフの主人も現地語は全く話せないので、意思疎通はできないかと思います。せっかく親戚に会ったとしても、思うように話せないのは苦痛ではないでしょうか。
そして帰省するにもかなりお金がかかってしまいます。近場のアジアでも、1人数万円する航空券が必要ですし、それが夏休みシーズンだったりすると、高騰するので家族で帰ると何十万円も飛んでしまいます。日本の国内でも遠方だとなかなか会いに行けないのに、外国に行くとなると混んでいる空港に行ってさらに何時間も飛行機に乗るのでとても大変です」

確かにそうですね。両言語を話せるハーフはそこまで多くないですし、私も一家で帰省する際には20万以上飛んだ記憶があります。簡単に帰省はできないですね。

「また、なぜか英語圏ではないのに英語で話しかけられる主人を見ていると、ハーフでも色々いるのになあと思います。確かに英語が公用語のフィリピン系ハーフですが、ほとんどのフィリピン人は仕事以外ではタガログ語を使っているのにです。
私はフィリピンに住んでいたことがあるのでわかりますが、英語でも結構訛りがあります。そう行ったハーフやクォーターの苦労があるので、なぜみんなミックスルーツの人を羨ましいというのだろうと思いました。いつでも海外に行けるわけではないので、親戚に何かあってもすぐに駆けつけられないのにです」

そうなんですよね。私も、カナダにいる祖父が倒れたときにすぐに駆けつけることができず、そのまま亡くなってしまいました。ですが、全員で帰省するとなると急に多額の費用が必要になるので、彼の息子である父親だけ帰省しました。
様々な苦労がある中で、「羨ましい」と言われると、反発心が芽生える気持ちもわかります。そういう人は少なくないですよね。安易に「ミックスルーツだから羨ましい」という人が減りますように。

(神崎なつめ/ライター)

※『mixroots』では困った体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です