【体験談】可愛くないのに「オサレ顔」と言われてモデルになった


グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本とアメリカのハーフであるHさん(20歳・女性)。彼女はアメリカ人の父親に似て、白人顔です。髪色も金髪に近い明るい色で、憧れられることが多いと言います。
自分自身はさほど容姿に自信がないようですが、高校生のときに「ハーフはオサレ顔」と言われ、サロンモデルを始めました。彼女はそれまでハーフであることが嫌でしたが、これをきっかけに肯定的な感情を持てるようになったと話します……

「サロンモデルを始めたのは高校1年生からで、今もフリーモデルとして活動しているんですけれど……。始めてから、ハーフ顔であることを理由に、どんどん仕事が増えていったので、ハーフでよかったと感じましたね。最初は、こういう反応にびっくりしましたよ。『なんで、こんなに私のことを可愛いって言ってくれるんだろう』って。
未だに、ちやほやしてもらえる理由がわからないんですけれど……。言われ慣れていなかったので、すごく嬉しかったです。本当に、『美人!』とかじゃなく、万人受けしなくても『おしゃれ』って言ってもらえるんです。今まで、可愛くないと悩んでさえいたので、とても自信につながりました」

Hさんは、周りから肯定されて、特徴的な顔を受け入れることができるようになったと言います。

しかし、ちょっと気になることもあると言います……

「この時代、『ハーフ羨ましい』とか、『すごい』って言われますよね。でも、海外の血が入っているというだけで、そんなことを言われるのは、気にくわないです。もちろんいいこともあるけれど、悪いこともたくさんありますからね。『羨ましい、羨ましい』って、表面だけとって言われるのは、うんざりしています。もうお腹いっぱいですね……」

ハーフって、悩みも尽きない人が多いですからね。

「そうなんですよ。仕事をしていくうちに、ハーフの子がたくさん仕事をしていることを知ったんですけれど……。うちも父親がいないんですけれど、母子家庭の子とかもたくさんいましたね。『理解してもらえる仲間がたくさんできた』というのが印象的です。
サロンモデルを通して、日本語以外の母語が話せないとか、あるあるで盛り上がって、本当に理解できる友達ができたのが一番嬉しいですね。そこが一番の居場所になりました。未だに、当時できたサロンモデルの友達と遊びます。学校でできた友達よりは、仕事でできた友達との方が続くんですよ」

ハーフの人と話していて、「理解者だ」という点で大きな違いがあると思いますが、他にも日本人とは違うと感じたところがありますか? 

「ハーフの子といると、やっぱり気楽なんですよね。ノリがいいんですよ。血が騒ぐんですかね。『うわああ!』って、何事も全力で楽しめる感じがします。そういうのは日本人と違う気がしますね。
波長が合うんですよ。テンションが下がりまくることもあるし、ガンッと上がることもあるみたいな。波が激しいですね。
あと、サバサバしているタイプが多いので、必要以上に気を使う必要がありました。気分屋の子も少なくて、わりかし明るい子が多くて、女々しくない印象にあります。そういう性格傾向は、サロンモデルをやって知りましたね」

Hさんは、今までハーフに対して肯定感を持てませんでしたが、仕事を通して自身がつくようになりました。とはいえ、悩みは尽きないため、安易にハーフであることを理由に、「羨ましい」と言われるのは嫌なのだそうです。
ハーフやクォーターの多くは、同じような境遇の人に会って初めて、「理解者」に会えたと思うようです。また、ハーフにはハーフの悩み、クォーターにはクォーターの悩みがあり、別の界隈があるという話を耳にしたことがあります。常にどこかで孤独感と戦っていそうですね。

(神崎なつめ/ライター)

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