【体験談】就活でハーフなのかと聞かれるのが重荷だった

グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本と中国のハーフであるSさん(24歳・女性)。彼女の母語は日本語と中国語です。中国に帰省することはありますが、自分自身はほとんど中国語や中国文化がわからないそうです。
彼女は、自分自身がハーフであるということに重荷を感じていたそうで……



「中国って、日本と顔が似ているので、すぐに私がハーフだって気づく人は少なかったんですよね。母もごく小さい頃から、集団から浮いていじめられないようにって、必死に日本文化を習得させようとしてくれていたみたいです。だから、クラスでいじめられるような経験もなく、平和に過ごしていました。自分自身から、自分がハーフであることが絶対にいいませんでしたね」

就活の際にも、自分自身がハーフであることは言わなかったようです。しかし、気づく面接官もいたそうで……

「聞かれた時には、『はい、そうです』と素直に答えていました。名前が少し変わっているので、それで気づいてしまうみたいなんですよね。しかし、『じゃあ話せるの?』って聞かれるのが重荷でした。私自身、それほど話せるわけではなく、少しリスニングができる程度だったので……。
それで『全く話せません』と言って、それが理由で落とされたらどうしようとか、不安もたくさんありました。私はいつラズに、『あまり話せるわけではないんですけれど』みたいな風に素直に答えていたんですけれど、就活が終わった今は、別にバレることでもないので、『話せます』って言った方がもしかしたらよかったのかな……と反省したりもしています」

面接官によっては、「じゃあ自己紹介してみて」という人もいるみたいですけれどね。それを見越して、自己紹介だけ暗記して就活に臨むハーフはいるようです。

「就活の合否って、理由がわからないから辛いですよね。やっぱり、『あんまり話せないんですよね』みたいなことを言った時の反応が良くなくて……。すごく自信のある面接で、自分が一番行きたかったところの結果がダメだった時も、素直に言語能力を言ってしまったせいではないかと後悔しました。
これって、ハーフでないと聞かれない質問ですよね。もし聞かれなかったら違う質問をされて、もっと良い結果を生んだ可能性もあるので、もしかしたら就活で不利に働いているのではないかと思います」

このようにSさんが考えてしまう理由として、大学での体験があると話し始めます……

「就活をする際に、大学推薦を利用したんですよね。学校推薦なので、就活前に学校内で面接があって、結果としてその面接で代表に選ばれたんですけれど……。実は結果を知らされる前に、キャリアセンターから電話が来て、『Sさんは日本国籍ですか?』って確認されたんですよ。なぜ国籍を機にするのかわからなかったのですが、自分は日本国籍を選択していたので、そうだと回答しました。でも、もし日本国籍を持っていたら、学校推薦を取りやめられる空気があったので、すごく不思議に思ったんですよね。就活でも、日本国籍じゃない可能性を考えて、落とされていたりするんじゃないかと思うと、怖いです」



Sさんは、ハーフであることが理由で、就活が不利になったのではないかとずっと考えているようです。日本では、日本国籍がないと何かと不便だと感じていたため、日本国籍を取得したSさん。しかし、国籍選択の際には、中国の面も忘れなかったため、精神的に辛かったと話します。ハーフとして生まれて来たからこそ、忘れたりはしたくなかったし、中国の要素を薄めたくないという葛藤があったようです。

就活や国籍選択でハーフが悩まなければならない社会は辛いですよね。ハーフを含め、ミックスルーツの立ち位置が社会で確立していけば、暮らしやすくなるように感じます。

※『mixroots』では困った体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。

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