【体験談】家庭でのバイリンガル教育には限界がある? その理由

1人1言語の法則に基づいた教育の難しさ

グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、台湾ハーフの奥さんを持つKさん(30歳・男性)。彼には娘がおり、台湾クォーターです。彼は子どものモチベーションがない中で無理をして子どもの頃から他言語習得に打ち込む必要く必要になってからで良い…と思っていたものの、奥さんが日本語・中国語・英語のトリリンガルに育てたいと出産前から強く思っていたため、小さいうちから他言語教育をすることにします。
といっても、自分たちで教えることは途中で頓挫してしまいました……。そのため、外国語教室に通わせています。その理由について、詳しく話を伺います。

「本人がハーフで両親が日本語と中国語で会話する環境で育ったため、彼女にとってはごく自然な考え方のようです。私と奥さんの出自、これまでの人生経験の差が出ていたのかと思います。そのため『じゃあまずはお試しで子供にはお互いの国で使われている言語で話そう』という方針で行くことになりました。
私は日本語で子供に話しかけ、奥さんは中国語で話しかける形でした。このプランには強い精神力と環境が必要だったようです。特に他の日本人のママと子供と一緒の時に困ったようでした。なぜなら、『片親が同じ言語で話しかけ続けなければならない』という研究があり、それに則った教育をしようとしていたからです」

モーリス・グラモンが提唱した「1人1言語の法則」ですよね。

1人の人が子供に話しかける際には、2つの言語を明確に分けて最初から1つの言語だけを使うようにしましょう。そうすることで子どもに大きな混乱が生まれず、のちに2つの言語を混在して使うことなく2つの言語が容易に覚えられます。

Suzanne Barron-Hauwaert

つまり、片親は例えば日本語、もう片方の親は中国語といったように、しっかりと使う言語を分けた方が良いという説です。

「そうです。数人は台湾や中国(香港や上海出身の人でした)のママ友達もできていましたが、公園で会う人や市などが親子向けに行っているイベントなどで会う人は基本的には日本人。子供同士で遊んでいるときに中国語で話すのはなかなか難しく、さらに家では子供と話すときは中国語、私と話すときは日本語…となると大変奥さんの負荷が高いようでした。
というわけで、まずは就学までは中国語はおいておこう、ということになりました。また赤ちゃん語で子供に話しかける分には特に問題ないのですが、文法や単語をきちんと教えるとなると奥さんは自信がないと言っていました。彼女の場合は両親と両方の言葉で会話する形で両方ともなんとなく身に着けてしまったため、体系的に言語を整理して教えることはできないとのことでした」

「ハーフの親は子どもに両言語を教えるのが当たり前」なんていう日本人たちの声も多いですが、実際はなかなかに難しいことなんですよね……。

「はい。そこでこの先はどこかの外国語教室で習わせようということになりました。そして就学する前後で近所に香港人の先生が中国語/英語を教えているスクールがあるのを見つけました。先生に会い、会話してみて、ここならよさそうだということで現在に至るまで通っています。ちなみに、台湾の中国語とスクールで教える中国の標準語・北京語で方言レベルの差異はありますが、許容範囲なのだそうです。
現在は、英語と中国語をそれぞれ別クラスで学んでいるのですが、本人は中国語クラスがお気に入りのようでした。どうやら中国語は『祖父祖母と中国語で会話する』という目標があるためモチベーションが高いようです。ですから、現在ではトリリンガルとしてネイティブレベルで…という次元は求めず、本人が本当にモチベーションを持った時にハードルが下がるように習い事として外国語教室に通わせています」

なぜか外国語教室で習うというと、非難する人たちがいます。ですが、ハーフが言語をより確実に習得する上で、モーリス・グラハンに基づけば、外国語教室というのはかなり有効ではないかと推察できます。
よく知らない世界のことについて、あれやこれやと非難する人が減るといいですね……。

(神崎なつめ/ライター)

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