グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、日本とベルギーのハーフTさん(27歳・女性)。ベルギーと日本、両方の学校に行った経験があることから、お互いの良さや問題点など、感じるものがあるそう。今回は、グローバル社会と言われる中、ミックスルーツや外国人に対する国際理解教育を行なっている日本について、話を伺いました。
「日本の教育システムは、欧米を参考にしている教育課程を重視している制度があります。受験は将来仕事に就く上で、非常に大事な教育を助長するターニングポイントになります。これも日本の経済発展の基になる先進国にとって海外にも良い影響があると思います。
勉強がしたくてもできない国や地域がある世界で、日本の教育水準はとても高いのと、日本語自体難しい言語であるのは間違いありません。しかし、そんな中で、教育制度が学生同士の競争になっている懸念から、ゆとり教育が導入されたのは、ヨーロッパの一部の教育システムと同様に、学校で学べる教科意外にも付加価値があるからです。学校や塾にいる時間が長いことは学生にとって、勉強に集中できる、集団の中での心地よさや協調性を育む場でもあります」
確かに、経済格差によって教育が受けられない国は多いですよね。日本において、塾に行かせられるかどうかなどで学歴差が生じやすいものの、海外を見渡した場合に、貧困層についても高水準の教育を受けているといえます。
「人間には個性があり、得意科目や不得意分野があって当然です。日本人や外国人に限らず、それぞれの特性を活かした職業や違った人生は大人になってはっきりしていくので、学校自体に全ての責任があるわけではありません。
ヨーロッパでは個別指導やそれぞれに合うクラスで学ぶ権利があります。日本が義務教育を無償化したことも、必要最低限の学力を養う上でとても良い制度だと思います」
無償でないと行かせられない家庭もありますからね……。
「ハーフの両親にとって子供が2つ以上の言語を取得し、その上で専門性のある学問を学べることを望んでいる親も多いと思います。選択肢が増えることにより、日本人だけでなく、外国人やミックスルーツの理解を深め、共通した認識や価値観を見出すにも多様性を重んじる教育は不可欠になっていきます。
2言語学ぶことは、ハーフやミックスルーツを持つ人でも日本で医者になれるようになって、病院に行った時も外国人が言葉で困らない治療を受けられることにつながります。誰でも安心して同じ社会で暮らせる基盤が教育で作られている実感があります」
「国際理解教育」の範囲かと言われると難しいですが、しかし「日本に住む外国人」や「ミックスルーツ」のアイデンティティの安定した形成に、言語獲得は必要不可欠といえます。確かに2言語習得させることを望む親は多いですし、思春期・青年期を迎えた子ども側からの要望も多いですね。これらが尊重されれば良いものですが……
「そうですね。これからの教育で必要そうなこと、ということで話は変わるのですが、ベルギーでは日本企業の技術がとても高評価を受けています。ですから、日本の技術が外国でも役に立ち、その国々との間でハーフやミックスルーツの人がバランスよく調和することに働き掛けられる教養が必要だと思っています。
異なる教育を受けた両親を見ても、『一つわかれば10を知る』ことは外国人にとって理解しがたいこともあります。言ったことしかわからないんですよね。日本では、幼い時から耳にする雑学が多いことに驚いたことがあります」
確かに、「察する」「言われていないことについて文脈から理解する」という部分において弱みを感じているハーフは多いですね。外国人学生が増えたことで、テスト問題の文脈を理解し、意図を超えて回答する・意図が汲めないということがないよう、フレームに関する教育が求められるようになると言われていますが、それだけでは不十分かもしれません。
「日本だと衛生概念や社会制度の情報は、テレビなどで時々知ることができます。学校で学ぶことのできない人生経験も人から聞くのではなく、メディアを通して知ることもあります。
こういう特性に基づくと、遠いヨーロッパの歴史などはあまり知ることは機会はなくても、ハーフやミックスという存在を通して知ることで理解を共有できれば国際的な社会に繋がると思います。そういうことを知る場、知る方法の提供というのも大事かもしれませんね」
ミックスルーツの実態や悩み、考えていることは中々表に出ないため、共有されにくい現状がありますよね。少しでも理解につながるという思いから、『mixroots』では、体験談の情報を発信しています。少しでもそういう場が増えれば良いのですが……。
(青木一真/ライター)
※『mixroots』では困った・よかった体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、問い合わせフォームや、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。
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