グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、日本と中国のハーフであるAさん(26歳・女性)。彼女の母語は日本語と中国語です。しかし、ずっと日本で生活し、中国人である母親も日本語が堪能であるため、中国語を話さない家庭環境にいます。彼女は、今もほとんど中国語を話せないと言っていました。
彼女は現在、一般企業に勤めていますが、学生時代から偏見で辛い思いをすることが多かったと言います。その体験というのが……
「私はそこまで容姿が良い方でなくて、むしろコンプレックスがあります。しかし、クラスでは『ハーフなのに美人じゃないね』と遠慮なく言ってくる人が多かったです。その度、すごく傷つきましたね。自分でも気にしていることだから、周りから言われると辛かったです。
確かに、メディアで取り上げられるのは美人なハーフばかりですよね。ハーフに美人が多いのは経験として事実だと思うのですが、美人でないハーフの人もたくさんいます。イメージで心ない一言を言わないでほしいと思いました」
コンプレックスに対して、周りから心ない言葉を言われるのは辛いですよね。「ハーフなのに」などと言われてしまうと、普通ハーフは美人であると言われている気がして、ますます悩んでしまいそうです。
「そうなんです。あと、『普通ハーフは』っていうので1つ話があるんですけれど……。『普通中国人は』っていう見られ方もよくされるんです。例えば、私はさほど勉強が得意ではなかったんですけれど、『中国人なら、数字とか強いよね。なんでできないの?』みたいなことを言われましたね。いや、知らないし……って思ったんですけれど、そういうのも深く傷つきました。挙句に、容姿のことも合わせて『残念なハーフ』みたいな言われ方をされました。すごく自分が嫌いになりましたよ。自分がハーフであることを恨みましたね」
散々の言われようですね……。
「こんな感じで好き放題言われるし、居場所がないし辛かったです。私の学校はハーフや外国人が結構多いところだったんですけれど……。なんか日本人は日本人で固まっているし、外国人の人も人種で固まっていましたね。私はどこのグループにもうまく入ることができなくて、なんか蚊帳の外っていう感じがすごくしていました。学生時代に良い思い出はありません」
就職して、職場での新しい出会いに期待したというAさん。しかし、職場でも辛い思いをし続けたと言います。
「社会人だし、さすがに子どもじみたことはないと思っていたんですけれどね。特に年上男性からはモラハラのようなことをよくされました。『ハーフなら中国語ができなきゃダメでしょ」みたいなことを言われたり、『ハーフなら美人に生まれるようお母さんも頑張ればいいのに』みたいなよくわからないことを言われたり……。本当にうんざりしました。なぜ、ハーフっていうだけで、勝手なことを言われなきゃいけないんでしょう。
実は、SNS上でハーフのお友達を何人か作ることができたんですけれど、彼女たちの中にも、職場でモラハラのようなことを受けている子が何人かいるんです。今は特にそういうのに厳しいのに、ハーフに対してとなると、軽くなっている感じがして、とても嫌ですね」
本人たちに自覚がないから、余計にタチが悪いというAさん。学校や職場でうまく溶け込めず、SNSで似たような境遇の仲間を探すようになったと言います
今はSNSが発達して、交流の幅が広がっていますが、それ以前は誰にも悩みを話せず、辛い思いを抱えてきたハーフが多そうですね。気づかず、ハーフの人たちに対してハラスメントを働いていないかどうか、再確認したいところです。
(神崎なつめ/ライター)
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