グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、日本とアメリカのハーフであるHさん(20歳・女性)。彼女は日本語が堪能ですが、英語は苦手意識があるようです。そのため、アメリカ人の父方の親戚とはほとんど交流ができません。
しかし、容姿は父親似で、髪色がアッシュカラーで明るく、背も170cm超えと高身長です。これは生まれ持った特製ですが、学校では困ることが多かったようで……
「身体的特徴によるトラブルは数え切れないくらい多かったですね。変えられないんだから、どうすればいいのっていう感じですが……。特に納得できないのが地毛申請です。小学生の頃は、髪色について誰にも言われたことがなかったんですけれど、中学生になると、見た目に厳しくなりますよね。それで校則に縛られたりすると思います。それで、だいぶ先生に呼び出しをされましたよ。
私の場合、同じ学校に兄が通っていたので、『信じているけど……』みたいなことを言われて。信じているけれど、チェックで呼び出すってどういうことって感じですよね。『髪色がちょっと明るいのは信じているけれど、さすがに明るすぎる』と言われてしまいました」
お兄さんの髪も明るかったけれど、Hさんほど明るくなかったということですか?
「そうですね。どちらかといえば母親似で。アッシュがかった茶髪ではあるんだけれども、ここまで明るくはないという感じでした。私の場合、ほとんど金髪に近かったんですよね。その上、前髪に近い右側の髪の一部が金髪で、なんかメッシュ入れているみたいになっているんですよ。もともとなんですけれど、ハーフでもこういう特徴は珍しいみたいですね。そういうのもあって、『ハーフであることを隠れ蓑して染めている』と疑われたんだと思います」
そのため、Hさんは幼少期の写真を持参して証明することにしました。
「それで髪を染めていることは疑われなくなりましたけれど、そもそも一本一本別の色に染めるって無理ですよね。しかも、ハーフの人を捕まえて、いちいち染めていないか確認するって、れっきとした人種差別ですよ。それだけでは終わらなくて、地毛申請なんていうものが必要だったんです。なぜ黒髪でないがために、毎年髪色を申請しなければならないのでしょう。最近は特に、もともと茶髪の子も増えていますよね。古い制度だと思います。その制度を維持するがために、毎年、チェックされて、面倒な書類を書き直しさせられるのは、たまったものではないですよ。もし染めないのを徹底したいのなら、親に呼びかければいいだけですよね」
Hさんは、髪色だけでなく、多くの場面で不便を経験したと言います。それゆえ、「グローバル社会と言いながら、日本は乗り遅れている」とも語ってくれました。
古くからある制度が、なぜ設立されたのかを忘れて、制度を守ること自体が目的になってしまっていることは往々にしてあります。特に、地毛申請に関しては、「人種差別だ」と訴えるハーフ、クォーターが多い印象を受けます。今はまだ何もないですが、のちのちトラブルが起こる予感がしますね。時には、なぜ制度が作られたのか見直して、時代に合わせて作り変えることが重要だと感じます。
(神崎なつめ/ライター)
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