【体験談】ロシアなのに「ハーフだから英語を話せなきゃダメ」って?


グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本とロシアのハーフであるEさん(22歳・女性)。彼女はずっと日本で生活しているため、日本語を何不自由なく話すことができます。ロシア語は、現地の人からすれば拙く、幼い印象を受けるでしょうけれど、コミュニケーションを取る意味では問題ないくらいには習得できているそうです。
現在彼女は、両親が離婚したこともあって、日本人の母と2人で暮らしています。そのため、自分の中でロシア人としてのアイデンティティは確かに存在するものの、日常においてロシアを意識する機会がほとんどなくなったと話します。しかし、ふとしたときに、ロシアを思い起こす出来事が起こるようで……

「言葉とアイデンティティは密接に関わっているという話は有名で、ハーフの子たちの間でも、自分のもう一方の国の言葉が話せない子は、『何人なのに話せない……』という悩みを抱えている子が多いように感じています。しかし、私の場合は、自分の意思を伝えるくらいには話すことができたし、大人たちが話すロシア語もなんとなく話せたので、アイデンティティクライシスのようなものは起きませんでした。
ロシアの血縁の方も、私があまりロシア語を得意ではないことを知っていたし、日本にいたら使う機会がないことは十二分に理解していたので、私の言葉の幼稚さについて、なにか言って来たことはありません。むしろ、私がわからなそうにすることがあれば、言葉を言い換えてくれることがあったし、ロシア文化がそこまでわからず、特殊な語彙がわからなくて、どう伝えていいか迷ったときには、じっと待ってくれたり、スマホで写真などを見せて、『これかな?』と聞いてくれたくらいです」

周りとコミュニケーションが取れたし、自分の話し方を受け入れてくれたため、アイデンティティの崩壊や大きな混乱が起こらなかったということですね? 

「そうですね。今思えばそうだと思います。私は、言葉はできれば堪能な方がいいだろうけれど、相手と意思疎通できれば、なにも問題がないと思っていましたし、そういう考え方も要因だと思います。しかし、大人になってから、少し混乱するような事態はありましたね。
というのも、父親の国の言葉をどれくらい話せるのかと聞かれたときに、正直に『聞き取りはほとんどできるけれど、会話は現地の人からすると、幼稚園児や小学生が話しているように感じるくらいには幼いと思います』と答えるのですが……。そうすると、『ハーフなんだから、しっかり話せなきゃダメじゃん』と、なぜか起こられてしまうことが多かったんです。特に、ステレオタイプで話したくはありませんが、事実として年配の男性に多かったですね。『え、意思疎通できるからいいじゃん……』という気持ちとともに、まるで義務のような物言いに悶々としてしまいました」

ハーフなら両方の言語を話せるというイメージは根強いですよね。

実施は、バイリンガル教育の方法が確立していないから、ハーフでも2言語の獲得は難しいんですけれどね……。

「ああ、そうなんですね。だからハーフって、2言語しっかり話せるタイプが少ないのか……。ほとんどいないのに、なぜかそういうイメージってありますよね。私もそういうイメージで言われたのかもしれませんが、自分がロシア語の習得度合いについて満足していただけに、とにかくびっくりして。しかも、うち、離婚していてもう、ロシア方の血縁と話をする機会がほとんどないんですよ。それなのに、どうして言われなきゃいけないんだろうって、びっくりしてしまいました。
ハーフって、離婚家庭が多いですよね。アイデンティティに関わるから言語を習得したいってハーフの子本人が言うならわかるけれど、必要性がないかもしれないのに、簡単に言ってくることにも衝撃的でした。その頃、私の周りは、ほとんどの人が、うちが母子家庭なのを知っていたから、『多分知ってるよね?』と思うと、なおさらでしたね」

国際結婚家庭は、離婚率が高く、平成28年度の厚生労働省の調査では、結婚全体の6%が毎年離婚しているようですしね。

『mixroots』関係者も割と大体的に行った個人調査で、7割が離婚していることがわかったのだそうです。

母数の問題で、個人調査はやや信憑性に欠けますが、紛れもなく多いのは事実ですね。

「で、さらにありえないと思うことがあるんですけれど……。そうやって説教をしてくるくせに、ロシアが何語を使うかわかっていなくて、意味わからない怒り方をする人がいるんですね。外国人ならみんな英語を話すと思っているのかもしれませんけれど、『ハーフなんだから、英語を話せなきゃダメじゃん』と言ってくる人がいるんです。
いや、関係ないじゃんって思いますよね。やんわりと、『ロシアは英語じゃないんですよ。国で英語を話しても、観光地以外ほとんど伝わらないくらいなんです』って説明したりするんですけれど、『え、でもハーフなら、普通、英語を話せるよね』と言われて、カチンとしてしまいました。普通はって言い方も不快だったけれど、ハーフなら国に関係なく話せるって言う考えがおかしいと思いましたね。それなら、日本の学校で第二言語として英語を学ぶあなたたちは、さぞ堪能なことでしょうね……と思ってしまいました。そんなことがないのはわかっていますけれどね」

なぜか、ハーフ=英語っていう考え方の人が一定数います。特に、非英語圏で、なおかつアジア圏ではない人は、そういう機会が多く、困りものです。典型的なステレオタイプでしょうけれども、当事者からすれば悪質なものですよね。
ハーフは、バイリンガル教育が確立されていないからこそ、2言語習得は日本人と同じように苦戦することが多いですが、その事実も知られていないため、英語圏であっても苦しめられるミックスルーツは多いです。

(神崎なつめ/ライター)

※『mixroots』では困った体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。

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