グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「よかった」「困った」を募集する本企画です。
☆★☆
今回話を伺ったのは、日本の方が濃い台湾とのクォーターあるMさん（30代前半・女性）です。彼女は、東南アジア系のハーフである男性と結婚をしています。お互い、日本名で国籍も日本なのだそうです。
ミックスルーツとして生きていく中で、国際結婚家庭夫婦の価値観の違いによるトラブルを経験したり、自身の人付き合いで日本人や外国人との価値観の相違を感じて、ミックスルーツで交際したいと思うようになる人も多くいますよね。結婚生活を通して、ミックスルーツ同士での価値観の相違をどう感じているか聞いてみました……
「うちは、名前も国籍も日本であるということで、付き合ってしばらくしてからお互いがミックスルーツだと知りました。『実は、僕の母親が外国人なんだ』と付き合っていた頃の主人に言われたとき、『ふーん、そうなんだ』程度にしか思っていませんでした。今でも特に気にしていません。
ハーフの子の家庭は離婚率が高いそうですが、彼の両親も離婚しており、私も東南アジアの人だという彼の母親の顔を知りません。ですが、目鼻立ちなどからして、まあ東南アジア系のハーフだろうなということはわかります」
国際結婚家庭の離婚率は非常に高いものです。厚生労働省によると、平成28年度の離婚件数は12945人で、結婚全体の6.0%にも上るのだそうです。
特に都心だと多いという話もありますね。
「近所にはブラジル人学校のスクールバスが来ていたり、外国人が多い地域なので南米系に間違われていることもしばしばあります。ですから、たまに主人は英語やポルトガル語で話しかけられますが、ポルトガル語はわかるはずもありません。私も、そんな彼を見ていて、『実は言ってなかったけど、クォーターなんだ』と話しました。主人も『あ、そうなんなんだ。アジア系の人はわかんないもんね』といった感じの反応でした。
これがもし、純粋に日本の血しか入っていない日本人だった場合、経験的に『なんで黙ってたの？』『えっ、じゃあ外国籍なの？』などと言われそうだと思うのですが、ミックスルーツ同士ですと、あまり干渉しません。お互いの親や祖父母の国はどんなところなのか、どんな料理が出てくるのかなどという話は盛り上がります」
ミックスルーツ同士であれば、デリケートな話題であることがわかっているので、実は傷つけてしまうような一言を言ってしまうことはあまりありませんよね。
どこに踏み込んでよくて、どこに踏み込んではいけないかが、なんとなくわかるように感じます。具体的に、どのように盛り上がるんですか？
「私は『台湾は基本的に市場で朝ごはんを買ったり食べたりするし、夜も子どもを連れて行くから女の人はお料理が下手な人が多いっていうね』というと、『うちでもナイトマーケットはあるけど、基本的に家で食べるんじゃないかな。治安が悪いから子どもを夜遅くに外に連れ出すことはないかも…』と言った風に、異なる部分を話して認め合うんです。
日本だと、『子どもを夜遅くに連れ出すなんて非常識だ！』と言われそうですが、国によって考え方も違いますし、もちろん文化も違います。ですから、価値観もそれぞれです。そうした部分をフランクに話せて、お互いに認め合えるのは、ミックスルーツ同士だからではないかなと感じました」
確かに、筆者自身も『なんでそんな考えに行き着くの』『なんでそんなことをするの』と言った内容で両親が喧嘩していたのを見かけましたね…。
全ての日本人が文化の違い等を受け入れられないというわけではないと思われますが、小さいころから文化の違いを身をもって感じてきたミックスルーツは受け入れていこうしたり、多く話し合いの場を設けたがったりするように感じます。
「そうですね。あと、ミックスルーツ同士だと、『こんなこと言ったら変に思われないかな』などと心配しなくて良いので、気楽ですね。様々な文化や価値観を知ることができますし、寛容でいられると思います。
うちの場合には、お互いの国に旅行に行って、実際に楽しみたいというのが密かな夢です。まずは新婚旅行第二弾目として、台湾に行くことにしていますよ」
素敵なお話をありがとうございました。新婚旅行の真っ最中とのこと、楽しんできて下さい！
友人関係でもミックスルーツは気楽だという話をよく聞きます。とりわけお互いの価値観が重要になってくる結婚生活においては、ミックスルーツ同士だと衝突が少ないかもしれませんね。
（神崎なつめ/ライター）
※『mixroots』では困った体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。
コメントを残す