【体験談】母国に行ったことがないミックスルーツの事情

ミックスルーツが母国に行かない理由

グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本の血が濃い中国(台湾)とのクォーターのAさん(41 歳・女性)。彼女は、自分の母国である台湾に訪れたことはあるものの、祖父母の住む花蓮に行ったことがないとのこと。その理由や事情について、伺っていきます。

「私の父方の祖母は帰化して日本国籍を得た台湾人です。出身は台湾中部の花蓮(ファレン)というところだそうです。明治時代あたりから、この地域には多くの日本人がいたそうで、そこで祖父と出会ったのではないかと思います。実の両親の馴れ初めを知っている人も少ないと思いますが、祖父母の馴れ初めはさらに知らないという人が多いのではないでしょうか。
私も親戚などから人伝てに聞いたので、確かではありませんが、そこで出会った後に日本へ渡り、日本国籍を取得したと思います」

帰化は難しいと聞きますが、日本国籍を取得できるケースもあるのですね。

「そのようですね。本題なのですが、ハーフやクォーターの中には、『親や祖父母の国に行ったことがない』『行ったことはあるけど言葉が喋れない』という人もいると思います。私は台湾には何度も行っていますが、花蓮には行ったことがありません。親戚が住む新竹というところや、台北には何度も行っています。
ですが、花蓮は台北から時間がかかることもありますし、手頃な観光とショッピングを済ませるだけなら大体の日本人が台北を選ぶので、私もそうでした。大学の友人と旅行をした時も台北だけで事足りてしまいました」

自分の母国へのアクセスが悪く、なおかつ特段楽しめるものがないとなると、母国へ帰らないミックスルーツもたくさんいそうですよね。思えば、筆者も帰国していません……。

「私の主人もフィリピンのハーフですが、フィリピンには行ったことがないそうです。それどころか、まだ海外には行ったことがないということでした。フィリピンの南の方なので、治安はマニラよりは良いですが、日本人とのハーフの子であるとわかったら、誘拐などの事件に巻き込まれるかもしれないからだそうです。ですから、フィリピンにいる自分のおじいさんやおばあさんには会ったことがないのだそうです」

確かに、日本ほど治安の良い国は稀ですし、安全面から帰国しにくい国もありますね。

「そうなんです。自分の祖父母のいたところに行ったことがない、会ったことがないというと、日本人の場合『なんで?』『変じゃない?』となりそうですが、国外に親戚がいる場合はそうでもありません。
どうしても連れていけない事情があったり、日本で生まれ育っているとハーフやクォーターであると自覚していても遠い国の親戚に会うことは難しいとわかっているからです。また、会えても現地の親戚と現地語でうまく会話できるかどうかも、家庭環境によります。私と主人は主に日本語で育ったので、現地語でうまく会話ができないので、子どもの頃に親戚と会って話しても拙い内容になってしまうでしょう」

様々な懸念がありますよね。「当たり前に帰国するよね」という考えは、ミックスルーツの間で極めて薄いかもしれませんね。

「でも、こういう実情を知らない日本人の人は、やっぱり日本人に疑問を持つように、私たちにも『なんで』って行ってしまうんですよね。
私も、台湾に行ったら、次はフィリピンに行って観光もしたい…という夢があります。どんなルーツがお互いにあるのかを知ることは、夫婦のことを知る良いきっかけになるとも思いますしね」

治安が良い時、また、体力や時間に余裕があるときに、まずは「観光から」という形で母国に行くことができれば、視野が広まりそうですね。
自分のアイデンティティを探して、ふらっと母国に行くミックスルーツは少なくありません。いつか行くことができれば…と願っている人は、多いことでしょう。

(神崎なつめ/ライター)

※『mixroots』では困った・よかった体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、問い合わせフォームや、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。

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