【体験談】ハーフだから日本人名をつけなかった為に疑われる国籍

グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本とベルギーのハーフGさん（23歳・女性）。彼女はベルギーで生活していましたが、就活を機に日本での生活を始めました。
そこで、ミックスルーツにありがちなパスポートの問題が浮上したようです。詳しく伺っていきます。

「両親のどちらかが日本人、もしくは祖父母が日本人であるときによく問われる質問に、『国籍はどちらですか？』があります。自分も日本に来て、ハーフと呼ばれる日本人だけれども、ベルギー人の父親の祖母はフランス人なので厳密的にはハーフでなく、ミックスの方が当てはまっているのかもしれません。
移民が多いヨーロッパの国では、二重国籍を持つ人も多く、日本に来てパスポートを取得申請をしようとした時に、国籍を選ばないといけないことを知りました」

日本では22歳までに国籍選択を行い、選択しなかった方の国籍を手放す“努力義務”がありますからね……。二重国籍ではいけない国は少ないと思いますし、海外で生活していた人はなおさら知らないことが多そうです。

「どのくらいの割合かは不明ですが、国際社会ですし、国際結婚の比率はヨーロッパ同様に隣国の人と配偶者関係を持つ割合は多いのは当然だと思っています。その為に日本の国籍制度は、単一国籍を持つよう推奨されているのではないかと推察します。複雑な管理や人口などとの関係も考えられますよね。
だから、日本ではヨーロッパにルーツを持つハーフやミックスは少数派で、たまにあからさまにチヤホヤされる時もあるので驚きますね」

アジア系のハーフは多いですが、西洋系のハーフは確かに少ない印象がありますね。

「一方で、両国で共通しているのは隣国同士のハーフやミックスは、外見や文化的な差が大きくないので、名前などが決定的に外国名でなければ区別されないことがありますよね。
日本のパスポートを申請する時、戸籍標本の提出を求められたことがあります。自分が日本人である証拠みたいな書類で、両親の名前が記載されています。名前から両親が日本の名前でない場合は、ハーフかミックスとしての証拠としてわかるので隠せません。無論、私のような外見だと、色白の目鼻立ちで証明写真を撮っても外国人だと分かります。しかも、両親は私に日本名を名付けなかったので、名前から日本人なのか疑問にもたれることがあります」

なるほど……。そのような反応をされることがあるのですね。

「また、日本のパスポートには、日本人の母親の苗字ですらないので、一見外国人が日本のパスポートを持っているという感じがします。
国籍を疑われることもびっくりでしたが、今更、国籍を選べと言われても先進国である日本とベルギーはどちらも好きだし、両国とも私にとって、帰れる居場所があります。なぜ選ばなければならないんでしょうね……」

国籍を１つ捨てることで、その国の人としてのアイデンティティを喪失するハーフはとても多いですよね。国籍選択をさせている日本の意図を知りたいところですが、明確な理由は筆者も知るところではありません……。

「日本の愛知県に行った時、日系ブラジル人の人たちに会いました。彼れはポルトガル語を話し、日本語を勉強しているそうです。その人たちのほとんどがハーフやミックスだったのですが、見た目では日本人と変わらない人もいた印象です。日本に長く住んでいても、外国籍の日系人が日本の国籍を取得することは大変だと聞いたことがあります」

そうなんですよね。日本国籍を捨ててしまうと、再度取りにくい上に日本で外国人扱いされ、生活が困難になると聞きます。そのために、日本国籍を選ぶしかない……と話すミックスルーツたちも結構いらっしゃいますね。

「そうそう！　日本のパスポートを持っていても日本語や文化が完全に日本人でないと、日本ではミックス、ハーフ、外国人と区別されてしまいます。
それだけでなく、日本語も流暢でなければならないし、振る舞いも日本人と同じでなければ受け入れられない風潮がある気がします。日本で生まれ育ち、日本の教育を受けている在日外国人ですら、日本人として扱ってもらえないと気付かされました……」

在日外国人を日本人として認めるかどうかについては、なかなかに困難なところがあると思います。移民を受け入れて崩れた国も少なくありませんしね……。
ですが、日本の血を持つミックスルーツの人たちにも、国籍を選ばせている理由とはなんなのでしょうか。また、筆者を含め、ことあるごとに国籍を疑われる心理はどのようなものなのでしょうか。とても気になるところです。

（青木一真/ライター）

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