グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「良かった」「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、シンガポールクォータのEさん(35歳・女性)。夫もフィリピンハーフで、ミックスルーツの結婚だったそう。
ですが、結婚した当初は、ミックスルーツゆえに様々な心配をされたり、また自分自身も考えることが多かったと回顧しています。詳しく話を伺いました。
「もし結婚相手が外国人やミックスルーツの人だった場合、周囲はどんな反応をするのか気になる人もいると思います。とても古い考え方の家であれば、外国人やハーフなどの人との結婚を許してくれないということもあるかもしれません。もし女性が外国人男性や、ミックスルーツの男性と結婚する場合、異国へ行ってしまうのではないかと親が心配するでしょう」
確かに、物理的に距離があると会いにくい上に介護等、様々な課題が浮上してきますよね。
「そうです。その上、慣れない土地での生活はとても大変です。私の場合、結婚前に東南アジアで働いていたのであまりその辺りは心配されていませんでした。仕事が忙しかったので、体調面は気にしているようでしたが、海外留学経験もあるので異国に馴染む適応能力はあったと思います。
ただ、外国人やハーフなどの人との結婚は、相手の親がもちろん外国人ですので、気になる人は気になると思います。たとえば日本語が通じるのか、結婚式はどこでやるのか、両方の国でやったほうがいいのかなど懸念することがあると思います」
確かにそうですよね。お互いの両親のコミュニケーションも難しくなると思います。
「私の場合は主人がハーフで、私がクォーターですがあまり最近は親戚と連絡を取らないこともありますし、主人はそもそも母親の国に行ったことすらないので、結婚式は日本でやればいいという話に収まりました。
そして、親も元々結婚するのなら何人でもいいから優しくて誠実な人とすれば良いし、結婚しないという選択肢もあるという自由な考え方の人でしたので、私はたまたま縁があった今の主人と結婚生活を送っています」
Eさんの場合には、特に大きな問題もなく結婚されたということですね!
「ですが、周りではハーフの友達が結婚して出産したものの、周りから外国人扱いされたという話を聞きました。ハーフの子どもはクォーターですが、外国人よりの見た目になることもあります。
それで保育園などでとても気をつかっているという話を聞くと、大変だなと思います。私は子どもがいませんが、いたとしても周りが外国人の多い地域なので、もちろんハーフの子供もいますしあまり差別されることなく溶け込んでいると感じました」
ミックスルーツの学校環境は、田舎の方がのびのびとできていい…という人がいる一方で、たまたま目をつけられてしまうと辛い、東京の外国人などの多い学校が良いという意見もありますが…Eさんは環境的に後者については実感しているようですね。
「結婚する際は相手の家との付き合いになるので、そう簡単にはできませんが、最終的にはお互いが納得すれば良い話ですから、外国人やミックスルーツの人だからといってあまり警戒しなくても良いと思います。
中身は皆同じ人間ですし、特にハーフなどの場合は自分のアイデンティティは日本だと思っている人も多いので、変に外国人扱いすることのほうが気をつかって疲れますし、普通に接していただければいいと思いました」
確かに、アイデンティティって話せる言語や生育環境などが大きな比重を占めているので、日本で育ったハーフは自分のアイデンティティが日本にあると思っているか、日本の方が強いと思っている人が多い印象にありますね。
自分にとって未知のもの、あまりよく知らないものは警戒してしまうのも当然ですが、ミックスルーツも一個人であり、同じ人なんですよね。
(神崎なつめ/ライター)
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