【体験談】自分のルーツなのに国籍選択しなければならない理由って?

国籍で悩むミックスルーツ

グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。

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今回話を伺ったのは、日本とイランのハーフであるKさん(21歳・女性)。彼女の母語は日本語とペルシャ語です。ペルシャ語はアラビア語と似て、蛇がのたくったような文字で、右から左に読むため、全く日本語とは異なるそうです。
彼女は日本で生活して来ましたが、アルバイトを始めるようになって困った経験をしたと話します。その内容というのが……



「バイトって、明確に落ちる理由がわかりませんよね。一時期、面接で落ちまくった時があるのですが、そのときには卑屈になりました。原因がわからないから、私はハーフの見た目だからじゃないかとか、日本語は話せなさそうに見えるからなんじゃないかとか、色々考えてしまいました。なんの根拠もないんですけれどね」

実際に、日本食の老舗の店とかで「イメージ」を理由に採用してもらえなかった経験は私にもありますね。実際にそういった例もあるからこそ、落ちると余計にハーフである自分に対して悲観的になってしまうように思います。
彼女の場合、それに拍車をかけるように国籍の問題が浮上しました。

「面接のときに、結構な頻度で国籍については雇用者側から聞かれましたね。ハーフって、所定の年齢になるまで親の国籍2つを持てるので、二重国籍にできるんですけれど、二重国籍なせいで外国人労働者扱いになるとか、ならないとか……。結局、全部日本人と同じ扱いになりましたけれどね」

国籍で議論されてしまうと、さらにハーフが原因で落ちたのかと悩んでしまいそうなものですね。二重国籍っていうだけで、日本の国籍はあるのに、不利な外国人労働者の扱いになるか議論される点は不可思議です。

「日本って、二重国籍とか、複数の国籍を持っている人に対して厳しいですよね。そういった社会のシステムは、不便ですし、気持ち的にも嫌ですね。アルバイトの件もありますしね。
それに、『何歳までに国籍を片方選択しなければならない』っていう年齢も、実際によくハーフの間で伝わっていないし、なぜ積極的に調べなければならないんですかね。選択しなければならないこともですけれど、そういうの面倒だなって思います」

そうですよね。多くのハーフは国籍選択によるアイデンティティ崩壊などを話題にしていました。親との繋がりが断たれてしまうようで辛いっていう子もいましたね。
そこまで、国籍1つに縛る理由がわからないですよね。

「はっきり言ってしまうと、日本って単一民族の島国なので……。そういう大前提があるから、ハーフとかクォーターとか、ミックスとかっていう概念が目立ってしまうんですよね。まあ、でも、日本ってそういう国じゃないですか。悲観的だけれど、それが嫌なら出て行くしかないって思っちゃいますね。私はもう諦めてしまっています」



アルバイトを通して、国籍の悩みを抱えたKさん。現状、日本が変わることは期待できず、自分たちが出て行くしかないと話していました。

国籍は日本人が想像する以上に、ハーフやクォーターの人たちのアイデンティティと密接に関わっています。それを取り上げられた時の喪失感は計り知れません。国籍を1つに選択しなければならない明確な理由を提示していただきたいところです。また、明確な理由がないなら、親の国の証をむやみに取り上げない社会になって欲しいですね。

(神崎なつめ/ライター)

※『mixroots』では困った体験談を募集しています。情報提供してくださる方は、『Twitter』アカウント、@mixed_community のDMまでお問い合わせください。

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