グローバル社会と言われているものの、真に国際理解に至っていない日本の現状。ハーフやクォーターの「困った」を募集する本企画です。
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今回話を伺ったのは、現在ロシア在住で、2児のハーフ娘を育てる日本人女性です。特に小学4年生になった長女へは、日本語とロシア語の両方が話せるようになることを目指して、日々言語教育に力を入れていると話します。
しかし、思わぬところで行き詰ってしまいました。そこで、なんとなくハーフのバイリンガル教育が行き詰ってしまう理由や、喧嘩が多くなってしまう理由が見えてきたようです。詳しく話を伺って行きます。
「私はロシア人の主人と結婚し、ロシアで二人の娘を出産しました。長女が生まれた時は、私も一人目の子ということで自分でも驚くくらいエネルギーがあり幼児教育に熱心に取り組みました。
バイリンガル教育という程でもないかもしれませんが、例えば、娘に話しかける単語一つでも常にロシア語と日本語の両方を繰り返し教えるなど、根気よく何度も何度も教えていきました」
最初の子どもの教育に力を入れる親は多いですよね。
特にハーフだと、真っ先に思いつくのがバイリンガル教育なのではないでしょうか。
「それが出来たのは、長女が応えてくれたからです。幼児期の脳はなんでもスポンジみたいに吸収します。同時に2か国語を覚えるのは長女にとってまるでゲームのような遊び感覚でした。そして、何より長女は本が大好きで2歳半くらいには日本語の絵本を一人で読むようになり、ロシア語の絵本も3歳を過ぎる頃には少しずつ読めるようになっていました。
その時は、『もしかしてこの子は天才なのかもしれない』と本気で思ったほどです。日本へ一時帰国する度に数十冊の本を持ち帰り、ロシアでも、買っても買っても、どんどん新しい絵本をほしがる長女。我が家は、本棚2個でも収まらないほど絵本や児童書であふれています」
バイリンガル教育はとても順調そうに見えますよね。
しかし、今は行き詰まりを見せているとか。何が起きたのでしょうか?
「小学校にはいってから事情が変わってきました。長女は、一年のうち10か月はロシアの現地小学校、2か月は日本の小学校に通っています。小学校はもちろん教育を受ける場所ですから、子供達の日本語力も急激に伸びていきます。
一方、長女は、1年のうち2か月だけを日本で過ごすので日本語力にどんどん差がでてしまうのです。それは毎年日本へ一時帰国するたびに感じることです。4年生になった今は、算数などの読解問題など、文章の内容を理解することが苦手で苦戦しています」
確かに、子どもが言語に触れ合う時間というのは大切ですよね。学校に入ってから、2つの言語の差が開く人が多いように感じます。また、それによって認知へ影響を及ぼし、学習までついていけない人は多いですよね……。
最近は、文部科学省が外国籍児童に対する対応に力を入れ始め、日本語をうまく話せない子へ言語サポートを行うと話しています。また、国語の読解で起こっている「こう回答すべき」という点が文化理解できていない子へ共有できていない……つまりフレーミングの問題について対応していくようです。
どの程度、これによって外国籍の子が馴染めるようになるか見届けて行きたいですね。また、外国籍に限らず、日本語に苦手意識のあるハーフも、この支援に参加できれば良いと感じます。
(神崎なつめ/ライター)
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